【シナリオ雑記】雑味とうまみ
セリフがうまく書けなくて、現在進行形で「ぐあああ!」となっている今、ちょっと気晴らしにシナリオ中のセリフについてちょっと私の考えを書いてみる。
もしライターになるために勉強中の人が読んでいたら、ごめんなさい。
これはもう私の書き癖であり、私が良いと思っているセリフという狭い世界での話なので、教科書にはしないでほしい。
なんども言うが、このブログはライター沼の端っこに生きている人の独り言しか書いていない。
私は女性向けゲームシナリオで「良い」と言われるシナリオは「セリフだけ読んで状況がある程度わかるものだ」と言っていた時期があった。
約6年前の私がライターになった頃のシナリオと比べて、圧倒的に女性向け恋愛ゲームのシナリオのト書きは減って、お客さんが1話を読むテンポが上がったとそう思っているからだ。
そこにはきっといろんな理由があるんだろうけれど、私も実際物語を書くときには7割くらいがセリフになるように気をつけていて、なぜそこまでたくさんの量をセリフにするかと言われると、それはト書きばかりだと彼の立ち絵(イラスト)が表示されなくなってしまうからだ。
出来るだけ、お客さんの目の前にイケメンが現れるようにしたい。だって読みながら泣いたり笑ったりするけど、根本はそういうゲームだもの。
まあ、シナリオ中のセリフの分量の増減はだいぶあったが、この6年いろんなセリフを書いてきた。プロポーズの言葉なんて何種類作ったかわからないし、たぶん愛してるよって言わせた回数は日本でもゆびおりなんじゃないかと思う。
でも、正直な話。
ずーっと1つのジャンルで執筆を続けていると、やっぱり綺麗な、耳当たりの良い言葉っていうのは…飽きるのだ。
「君を愛しているよ。私のお姫様」
まあ悪くはないが…文字の綺麗な並びは、言うなれば教科書の文字だな、と私は思う。
私がほしいのは教科書や文芸本に載っている美しい文字の羅列ではなく、普段駅を歩いているときに聞こえてくる会話だったり、ファミレスの友達同士の会話だ。
そこにはどもりがあって、思考があって、会話中にさまざまな不整合が起きている。
私は生きた、そういう口から出たばかりの言葉が大好きで、その温度を書きたいと思っている。だから、たぶん私の書くシナリオには雑味が多い。
綺麗な文章を好む人からしたら、たぶんいらない「あ、」であったり、いらない「っていうかさ」だったりするのかもしれない。
でも、その雑味の中にキャラクターの性格があると、私はどうしても思ってしまうのだ。
テンポよく進んで、まるでその場所にいるように感じられて、あれ、もう一回あの人と喋りたいなあ。そんな風に思えるセリフが書きたい。
できるなら、台詞から声が想像できるくらいにリアルで、雰囲気のあるセリフが書きたい。
いつもそんなことを思いながらキャラクターのセリフを作っていて、そして毎日悩んでいる。
世の中に送りこんだ作品の中で、もしもあなたの心に刺さるセリフがあったなら、それは私にとってとても嬉しいことだ。
そして、もし機会があったら私にこっそり教えてほしい。
あなたはどんなセリフが好きでした?